性加害や深刻なハラスメントに関するニュースが目に付きます。その範囲は広く、あらゆる業界で現在進行形で起こっていることが分かります。芸能界、スポーツ界、法曹界、学校、会社や家庭…つまり日本社会のいたるところで今なお、人権侵害が横行しているということです。
では、どうやって食い止めていくのか。それは「知る」ことからしか始まりません。今、明るみになっている様々な事象は当事者が勇気を振り絞って告発したことが発端です。例えば昨日明かされた天台宗の寺での性暴力の件。神聖であるはずの寺でおぞましい行為が僧侶によって14年間にもわたり繰り返し行われていたという衝撃の事実が明るみになったのです。勇気をもって告発をした叡敦さんを心から支持します。
周囲の人はどうすべきなのか。衝撃の人権侵害の事実を知らされた時に、まずは徹底的に被害者に寄り添い、真相解明のために被害者に協力するべきです。例えば我が子が教師からセクハラを受けている場合。その行為が軽い場合など、ついつい「気にしすぎだ」「自分で解決しなさい」など突き放したり、きちんと受け止めない傾向もあるのではないでしょうか。しかし、それは性加害行為の初期かもしれませんし、軽微な段階で注意することは加害者のためにもなるでしょうし、第二第三の被害者を生まないためにも絶対に必要なことです。
社会の仕組みはどうするべきなのか。安心して相談できる窓口が必要だと思います。そのような窓口は既に設置されているとは思いますが、利用するにはかなりの心理的ハードルがあると思います。悩みを気軽に相談できる場所が必要です。そして当事者や支援者だけでは解決が難しい場合や法的な知識が必要な場合などは、公的な相談窓口に相談をすること。
一番大切なのは誰もが人権意識をしっかり持つことです。他でもない自分自身の人権、自由に平和に生きる権利がきちんと確保されているかどうかを知る必要があります。そのためには権利について「知る」ことが重要です。子どもたちは「子どもの権利」を知って行使しなくてはなりませんし、会社員は労働者としての「権利」を知った上で働く必要があり、権利が侵害されていたら迷わず声を上げることが大切です。
日本社会は「権利意識」が非常に低いと思います。社会の構造がもたらした権利侵害の事象であっても「個人的な問題」「自分が悪かったのだ」と思わされてしまう傾向があり、社会問題としての解決がなされずに同じ過ちが何度も繰り返されています。地位や立場を利用して相手をいじめたり、不当な圧力をかけること、また性加害を行うことなどは断じて許されるものではありません。
身近な人が困っていたら、まず寄り添いましょう。自分に出来ることは何か。自分に出来ない時は他の人とも相談しましょう。必ず解決するはずです。